悩ましいプレミアム。DS4 クロスバック ディーゼルの試乗レポート

最終更新日: 公開日:2016-12-14 | Posted in 試乗レポート by

今年は後半になってプジョー・シトロエンがディーゼルモデルを充実させてきたこと、個人的な自動車のニュースの大きなトピックだと思っています。

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プジョーといえばかつて504などディーゼルのイメージの強い車種もあり、相当早いタイミングで高性能にも力点を置いたモデルがシトロエンCXなどにありました。メルセデスなどと並んで、ディーゼルエンジンのいいクルマを多数輩出してきたメーカー、それがプジョーでありシトロエンなのです。

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(私見だが、シトロエンは秋の季語だと思っている。ひんやりとした空気につい窓を開けたくなるから不思議である。)

そして今回は排気量でも二種類を用意、C4ピカソだけ少しチューニングを変えていて3種類のエンジンが国内に上陸するとのこと。ディーゼルエンジンの魅力はと聞かれたら、もちろん熱効率の高さなど科学的にも幾多ものメリットがあるのがディーゼルエンジンです。しかし、そういう小難しいことは抜きにしても、「とにかく遠くまで出かけてみたい」。ロングドライブに適した低回転からの自在なトルク重視型の出力傾向と、低燃費で躊躇なく出かけられるということではないでしょうか。

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今年のフレンチブルーミーティングを取材した際、何かフランス車を試乗できないだろうかと思っていたところに、お誘いをいただいたので、DS4クロスバックに2リットルのディーゼルエンジンを搭載したモデルで出かけることにしました。その時の印象を少しまとめておきたいと思います。

うーん…いただけない外観

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私見ですが、どんなに温情採点、ひいき目に見てもこの外観はちょっとない。ないというかさみしい。これが私の第一印象でした。

まずはDS4クロスバックというクルマに関して。C4をベースに「4ドアクーペ」と謳うDS4のクロスオーバー風に仕立てられ、車高少し上げたモデルがDS4クロスバックです。まあ、今風です。流行に乗ったのかしら。そのあたりも日本人的にはなんだか昔の孤高のスタンスが希薄になった印象を受ける元凶になっているのかもしれません。しかし、あらかじめ申し上げておきたいのですが、クルマとして全然ダメという結論に至ったかといえば、今回このクルマ、もし350万円前後でさほど大きくない、しかしロングツアラーを選ぶとなったときに、かなりスータブルな一台。ことと次第によってはマイカーにしてもいいと思うほどすこぶるなじみ、最終的には甚く気に入ってしまったというのが結論であります。

だから、こんな私の個人的第一印象などどうでもいいのです。そもそもアウトモビリ・シトロエン(DSDSと騒いだところで、このクルマの車検証上の車種名はシトロエンであります!)は今までにも醜いクルマをことあるごとに作ってきました。それに比べたら、ずいぶん穏便なほどではあるのです。それでもこのクルマのデザインはなんだかなあと思ってしまうのです。強烈にひどいデザインではないのです。しかし、それがむしろ問題だと思います。特にフロント回り。どこかで見たことのあるようなモティーフ。全体のフォルムに比べて、押し出しが弱い。バランスがイマイチなのかもしれません。

まあ、そうは言っても、シトロエンに言わせたら「皆さんは個性的なクルマ作りとかおっしゃいますが、我々からしますと、あれ以上ない、私たちの考えるきわめてオーソドックスなクルマしか作ってまいりませんでしたが。どうしたらあれ以外のクルマを作ることができましょう。」くらいうそぶかれる可能性は十分ありますから、少し割り引いてというか、わきまえて考えておく必要はあるでしょうが。

外観はどうでもいい、乗ればわかる懐の深さ

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そんな思いを抱きながらクルマに乗ってみます。たちまち印象が変わるので、正直食って掛かるような外観に対する自分の抱いた第一印象にあからさまに猛省してしまうほどでした。まず、ドライビングポジションがしっくりきます。自然な姿勢で腰を下ろすと、そのまま手を前に伸ばしたところに、ステアリングがある。ステアリングに手を添えればそれで運転姿勢をとることができる。「ああ、これこれ」かつて所有していて、手放したことを後悔している、BX16TRS。あの時の感覚が呼び起こされるかのようです。

以前のC3では、ゼニスウィンドウと呼ばれた、大きめのフロントウィンドウで、頭上の視界が調整できるタイプのルーフは、実質的な解放感に関してはサンルーフ以上でしょう。これも実に気持ちがよい。こうしていざ出発しようか。旅にいざなうのです。そうそう、これがシトロエンのやり方、手法ですよね。DSなどと標榜して全く知らないことを矢継ぎ早に提示されるのでは困ってしまうけれども、実はこういう根柢の流儀、運転席に座った時のマナーというか節度というべきか。そういうものはいたって普通。というか「従前のシトロエン」で安心した部分でありました。

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その意味ではややとんがったエッジの効いたクルマという印象でしたが、あるべき姿のオーソドックスなメッセージはしっかりと随所に残されている。DSのシリーズに対する理解も少し深まった気がします。

ディーゼルエンジン、アイシンの6速オートマ添えの珠玉

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(買うなら赤だろうか。フレンチブルーミーティングではプジョーシトロエンのブースで展示された。)

いよいよ車山に向けて出発です。町田街道を抜け高尾から圏央道経由で中央道へ。トルクがあるので町中の道でも扱いやすい。しかも、オートマチックとの相性は抜群。たっぷりとしたトルク曲線の稜線上をあますことなく目いっぱい使いきるような、おおらかさがあるのです。最近ではマツダがアクセラにGVC(Gベクタリングコントロール)を装着した例などもあり、とても濃密に感じることとして、このトルクの伝わり方が実に重要で、シトロエンは昔のモデルから「要はその部分の番長」だったということができるのではないでしょうか。

DSなんかもあの大柄なボディを、お世辞にもプレミアム感皆無のエンジンでものすごい勢いですっ飛んでいく。さすがに登りは正直になりますが、平地と下りでは自動車工学の常識外のことが起きているかのような俊足とドライビングプレジャーがそこにはありました。よく地面を掴むと表現する接地がありますが、それだけでは不足であり、シトロエンの場合、路面と「呼応している」と表現するほうが近いかもしれませんね。追従もするし、折り合う場合も折り合わない場合も、クルマが判断し、結論としてはクルマの事情に合わせて乗り越える。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...