「夏休みだから那須塩原へ」BMW 2シリーズ 218dグランツアラーに試乗する

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今年はBMWが創立100周年の記念すべき年。自動車を作る前に航空機メーカーとしてスタートした年から一世紀なのだそうです。航空機メーカーを前身とするメーカーはたくさんあります。BMWもその一つということになります。

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自動車メーカーとしても、FRや直列6気筒エンジンという、比較的オーセンティックなアイコンを今も大事に守り続けているメーカーというイメージが強いかもしれません。しかし、そんなBMWも近年では様々なニーズに応えるべく様々なニューモデルをリリース。コンパクトなモデルではFFレイアウトも積極的に採用したりしています。実際のところどうなのか。やはりちょっと気になりますよね。

もう秋雨前線が居座る季節になってしまい、少し前になりますが、今年の夏休みは、甥や姪も一緒に那須塩原に行くというので、その機会に「BMWなのにFF」「BMWなのにミニバン」な、2シリーズ 218dグランツアラーの試乗をすることにしました。果たしてどんなものなのか振り返ってみましょう。

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BMWの最初のモデルはコンパクトカーだった!

こういう伝統を重んじ、スタイルを貫くメーカーや車種には、とかく頭の固いファンが群がりがちですね。原典・原理主義というか、「ねばならない」を五月蠅く繰り返す人いますね。まあ、わからないでもありません。しかし、例えばBMWに関しては金科玉条のごとく「滑らかなストレート6」を盲目的に唱える、そういう人も散見されますね。ただ、いろいろ見ていくと古くはV8モデルがかなり主要な構成を占めていましたし、もとをただせば、最初に生産したモデルなど、コンパクトカーというべきクルマDixi(ディクシー)だったのです。

このdixiはどんな状況で生まれたのでしょうか?虎視眈々と自動車生産に乗り出そうとしていたBMWのですが、そのころイギリスのオースチン・セヴンのライセンス生産車「dixi」の製造権を持っており、鉄道車両の製造なども手掛けていた、アイゼナハ車両製作所の株式が大暴落。このタイミングを狙ってさっくりと買い取ったところで、工場と権利が手に入り、自動車製造に乗り出した、というようなことのようです。このクルマは、クラスでいえば小さな高級車3シリーズのようなモデルだったかもしれませんが、サイズはずいぶんコンパクトなクルマ、自動車趣味の観点からBMWを見ている方には受け入れていただけないのかもしれません。それでも、当時のユーザーから受け止められ方としては、すこし背を伸ばして買う、初めてクルマ、そんなチョイスの、コンパクトなBMW。まさにこの2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラーのようなクルマだったんじゃないか。そんな気がしているのです。

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▲電動パノラマガラスルーフを装着していると解放感も抜群だ。雨さえも、旅をともにする中まで楽しめるのだからなんとも旅情を掻き立てるというもの。3列目はエマージェンシーの域を出ないがそういうその席に座る人にもこれがあるとないとは大違いだ。

実質的にBMWとしての何かを捨てているわけではない

確かにオーセンティックなレイアウトでスタイルを踏襲すると、昔ながらの経験的に比較的多くの人が感じることができる「かっこいいクルマ」になるのは間違いないでしょう。最近のBMWはドイツ勢の中でも、もっともインテリジェンスに固執しているとすら思うほど、スタイリッシュで、優等生的で、厳しい言い方をすると色気を捨てて、堅実さ、世の中から支持される存在にこだわりすぎているとすら感じるものです。しかしもともとは、ドイツ車でありながら、どこか危なげのある、パフォーマンスのためには盛大なエグゾーストノートを歌い上げることも辞さない、騒々しくて軟派な印象すらあるクルマを多く作っていたメーカーというイメージがあります。それに比して、この218dグランツアラー。まさに日本のメーカーがやってきたことを、2010年代も中盤を過ぎた今になって、なんの工夫も遊びもなく真正面からやってみました。そんな雰囲気すらあり、お世辞にも色気を感じるようなところはありません。

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▲日本にも挑戦的なミニバンが数多くあった。画一的で間違いないものもいいが独創的で個性的なモデルの登場も願わずにはいられない。

しかし乗ってみるとどうでしょうか。重いものを引きずっている感じもなく、むしろアクティブツアラーよりも長いホイールベースが乗り心地をいい方向に作用させていると感じさせます。FFだからこそ、ハンドルの切れ角、車速、タイヤの舵角の3点の塩梅をしっかり注視!!そんな気遣いをかえって感じるほど、セッティングは自然なものでした。正直最近、御多分に漏れず急にラインナップを拡大したBMW。中にはお世辞にもBMWと認めたくないようなハンドリングのモデルもあったことは私自身確認しています。よく言うBMWらしさとはなんだろう、といったとき、それこそマツダあたりが「人馬一体」というあの感じ。あれではないでしょうか。心地よく高回転まで回る、それにつれて加速がリニアについていく。ハンドルを切ったらその切った分だけ、言い換えると意図した分だけクルマがナチュラルに旋回していく。すべてにおいて、重厚かつ軽やか、そして一切の淀みなく。個人的にはこれだと思っています。

このモデルには、そもそも高回転型ではなかったディーゼルエンジンの素性からスタートさせて、その割には高回転型になっている。そんなエンジンの基本的性質とBMWによる仕事、このどちらも共に感じることができ、結果としてその重厚かつ軽やかな仕上がりになっているこのエンジン。まあ、要は最近日本でも人気の3シリーズなどにも載っている「例の4気筒ディーゼル」の発展型なわけです。しかしそれでも、当初に比べてメカニカルノイズもグンと静かになったように感じます。このあたりに関しては「やかましいからガソリンだ」という人もいるので、その許容度についてはぜひ、お近くのディーラーなどで試乗してみて確かめていただくことをお勧めします。このトルク感とそのゲインの割に、二度見する経済性はなかなかの求心力を感じますが。

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▲基本は黒子に徹したエンジンの域を出ないものなのだろうが、それだけのことはあるエンジンだし、だからこそ主張するものもあるというものだ。いいクルマはその搭載位置なども工夫されているものだ。

このクルマを購入する状況で、もしかするとBMWに乗りたいお父さん、最初はあまり乗り気ではないかもしれません。しかし奥様やご家族の支持が厚かったりして、しぶしぶ試乗してみたとしましょう。試乗してみると、「これでいいかもな」と思えるレベル。案外そういうクルマではないでしょうか。むしろ「我が家の車庫は一台分。そこに納めるクルマなのだから制約もあるし、できるだけ我慢をしない選択肢をさがしたい。」実はそんなかなりマジョリティを占める需要に対して、BMWの回答はもはやエンスーメーカーのそれではなく、日本市場では一定の支持を集めている一大メーカーとしての「自覚」「節度」のようなものすら感じる、「積極的に手堅い」もののように感じました。

OEM記事提供

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...