夜の六本木で見かけるアレではなく、良家出身の(?)99年式メルセデス・ベンツGクラスに試乗する!

公開日:Posted in 試乗レポート by

新車業界には「広報車」という便利なモノがあるため、必要があれば(そしてメディア関係者であれば)直通電話ないしは専用サイトを通じてそれをお借りし、試乗することができる。しかし中古車業界ではあいにく「試乗車=商品」であるため、ホイホイ試乗するわけにはいかない。

「中古車の試乗記」がほとんど存在していない理由

わたしのような中古車専門ジャーナリストでも「あ、それ乗せてよ」とエラソーかつ気軽に言えるものではないし、お客の立場でも、商品車両に試乗できるのは、基本的には契約の最終局面に近いタイミングだ。一見客がお店に行ったそばから「え~と中古車の購入をなんとなく検討中なんで、とりあえずアレとコレとソレに試乗させてください」とか言っても、「おととい来やがれ」という意味の文言を丁寧に言われるだけだ。

以上の理由から、比較的身近な存在に感じられる「中古車」だが、その本当のコンディションというのは、実は軽度のブラックボックス化している。それを確かめる術があまりないのだ。しかしこのたびカレントライフ編集部の尽力により、不定期ながら「売り物の輸入中古車」に試乗し、その模様をレポートできる機会を得た。まず一発目は99年式のメルセデス・ベンツG500L。このレポートが、Gクラスや、それに近い何かの購入を検討している人のお役に少しでも立つならば幸いだ。

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で、この中古車試乗シリーズにおいて不肖筆者がお伝えしたい項目は大きく分けて2つある。一つは、「中古車として(機械として)今、どうなのか?」ということ。そしてもう一つが「あえて今、その(年式的に古い)モデルに乗る意味は何なのか?」ということだ。中古車というのは一般的に新車よりも安価なわけだが、その中古個体を選ぶべき理由は「安価」っつーことだけなのか? それともほかにもっと積極的な理由もあるのか? そのあたりをぜひとも探っていきたいと考えている。

これほど上等な中期Gクラスがまだ残っていたとは……

では、最初の「中古車として(機械として)今、どうなのか?」という項目。

Gクラスというクルマ自体のヒストリー解説とかは、カレントライフ読者には不要だろう。NATO軍用車の民生版としてスタートし、現在販売中の超後期W463は、主にAMGのG63が「夜の六本木でしょっちゅう見かけるクルマ」と化しているアレである。

そして今回の試乗車は前述のとおり99年式のG500Lで、走行距離4.4万kmのフルノーマル物件。……年代的には「中期」とすればいいんでしょうか? 初期W463の頃のあまりにも無骨すぎるタイプではなく、かといって01年5月以降のチャラチャラした内装+コンピュータ満載になったアレとも違う、端境期的な年代のGクラスだ。

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試乗前にボディ外周をぐるり一周してみると、とにかく「かなりキレイな1台」であることにすぐ気づく。もちろん顕微鏡で見るようなマインドで各所を見れば、それなりの小キズとかもあるのだろう。しかしフツーに見る限りでは「こんな上等な中期Gクラス、まだ残ってたんだ!」という感じである。

金庫のような堅牢さというか高精度感が、ボディ全体にみなぎっているのがこの世代のメルセデス全般の特徴だ。しかしGクラスはドンガラがデカく、そしてボディの作り自体がセダンとかとは少々違うため、新車時からそれなりの「ユルさ」はある。まぁユルいといっても「W124とか126とかと比べればユルいです」というレベルだが。そしてこの99年式は、そういった意味において「ユルい」が、それ以上にユルくはない。つまり「……初度登録から17年もたってるのに、なんでそんなに堅牢なんだよ! おかしいだろ!」というニュアンスである。ここまで立て付けがしっかりしている中期Gクラスは久々に見た気がする。

やたら充実している整備履歴が「奇跡の1台」を生んだのか?

運転席に座り、キャビン内を観察する。中古車にありがちな異臭はなく、あくまでも「90年代ぐらいのメルセデス特有の匂い」だけがほのかに漂っている状態。レザーやウッド、樹脂パーツなどもかなり良好な状態に保たれており、初代オーナーおよび2代目オーナーの几帳面っぷりが目に浮かぶ。運転席および助手席のレザー表皮のみ少々のスレが気になったが、まぁそのままでも特に問題はなく、どうしても気になるなら専門業者に依頼して補修すればそれでOK。それなりの予算はかかるが、かなりキレイになるはずだ。

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では、エンジンをかけて出発いたします。……………………なんなんでしょうか、この発進後20mぐらいでわかってしまう「あまりにもしっかりしてる感」は! 実走わずか4.4万kmとはいえさすがに99年式、つまり17年落ちだぜ? なのになぜキミは、オレが輸入車専門誌の編集者だった10年以上前のG500Lとまったく同じような、超が付くほどの剛性感を伴って走るんだ? 意味わかんねえよ!!!

出発地点からわずか20mほど行ったところでそう絶叫した筆者だったが、その「意味」は、おそらくはこの個体のやたら充実しまくっている整備履歴にあるのだろう。

資料によれば初代オーナーは、大した距離も走ってないのに1年ごとのペースで律儀にヤナセに入庫させており(※途中1回だけ2年サイクルもあり)、2代目オーナーも、都内の某Gクラス専門店にこれまた1年ごとに入庫させている(※こちらも1回だけ2年サイクルあり)。……たまたまだろうが2代連続で几帳面系オーナーに愛された結果、この99年式G500Lは初度登録から17年がたった今もなお、ちょっと異常なまでの「いい中古車感」を放つに至ったのだ。「クルマはメンテナンスが重要です」というありがちな古典フレーズを、悔しいが、わたくしもつぶやかざるを得ない。

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この記事の筆者:伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めた...