「クルマを買うことはひんしゅくを買うこと」秋田良子さんのフェラーリ ディノ246GTを見に行って

最終更新日: 公開日:2016-09-13 | Posted in オーナーインタビュー by

「クルマを買うことはひんしゅくを買うこと。」藪から棒に何を言うか。そう思われた方も多いかもしれんませんが。私はクルマを買うことはある種そういう部分があるのだと思っています。

特にここへきて、実力主義、成果主義。社会がそれを個人に求めるようになってきました。年功序列型よりは公明正大な世の中になったかのように思えるこの言葉。確かに優秀で成果をあげられる世の中はいいと思う。しかし、その仕組みの良しあしではなく、これはすなわち「年を取るにつれてたくさんのお給料は払えなくなりました」というメッセージでもあると思うのです。こうなってくると無駄はできない。冒険もできない。堅実に計画的に。時に勝負に出たいと思わないわけではないけれど、あくまでも慎重に。それが世を生きる処世訓のようになっていく。これは当然の流れなのだと思います。

好きなクルマを買えばいいのです

そんな世の中ですから、まず悪者にされるのは自動車。この論調もそうびっくりしません。クルマなんかなくてもいいよね。クルマなんか買うのは無駄だよね。と最初は個人的な考え方にとどまっていたそういうスタンスが、そのうち世の中の流れになっていく。

でも本当はこういう時代だからこそ、自分の自由を助ける。見聞を広げられる。そして新しい出会いが待っている。そんなクルマをもつことから得るメリットはとても大きいと思うのです。レンタカー屋さんが閉まっていても、あるいは駅前のレンタカー屋さんにいくためのバスが終わってしまった後でも。秋の風が気持ちいいから、月があまりにもきれいだから、あのラーメンの味が恋しくて。そんななんとなく出かける足、愛車が駐車場に待っている。これは素敵なこと。できれば所有した方がいい。そう常々皆さんにお話ししています。

そして、こんな時代だからこそ、どうせ一台クルマを買うならば「あそこの人あんな派手なクルマ買ってやあねぇ」「いつも変わったクルマ乗りまわして」そう周囲の誰もが言うようなクルマに乗った方が得だと思うのです。限られたお給料で買うクルマです。どんなクルマを停めても同じ金額を払わねばならない駐車場に置いておくのです。「毎日乗るわけじゃない」のであれば、いっそ我慢なんかすることないのではないか。何に臆することも躊躇することもないのではなく、好きなクルマを買えばいいのです。心の底からそう思います。

スーパーカーを持つ人ってどんな人なのだろうか。皆さんはそんなことを考えたことはあるでしょうか?私は前で述べたようなことを素直に実践した方。そんな風に受け止めていました。クルマがすごい。お金がある。それは全くなければ買えないかもしれませんが、それより「行くか行かないか」「同じことなら面白い方」をチョイスした結果なのではないか。そんな風に思うのです。これ自体とても素敵なことだと思うのです。

秋田さんが所有するディノを見に京都南丹市へ

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ガレージの軒先で育てているブドウが今年はようやく食べられるくらいまで育ちご満悦の秋田さん。愛車のディノとともに。

京都府南丹市、京都から日本海沿いを走る国道9号線が通る古くからの街道沿いの街。この街に住む秋田良子さんは、以前から存じ上げていて、Facebookではしばしば交流のあった方でした。実はすでにご主人を亡くされていますが、今もそのご主人が生前イタリアに直接買い付けに行って、日本に持ち込んだディノと暮らしている方で自動車好きの間ではかなり有名な方なのです。私も雑誌か何かで秋田さんが今も所有するディノのことはすでに拝見し、存じ上げていました。

しかし、カレントライフ編集部でも話題に上がったり、いろんなことで秋田さんの話題が出たこともあって、一度この目で直接ディノを見せていただけないか。そんなことを思い立ったのです。秋田さんにご連絡したところ「ぜひ」と歓迎してくださり、伺うことになりました。今回のお供はマツダアクセラ。このクルマに乗って京都南丹市に出かけることにしたのです。

はじめは、前述のようなスーパーカーオーナーにありがち、そして自分の想定するスーパーカーオーナー像の中の方で、貴重なディノを持っている。その愛車を見せていただく。その程度のことでしか考えていなかったというのが実は正直なところでした。しかし、そのクルマは歳月をそのボディにしっかりと刻んでおり、もっと自然にもっと淡々として、その京都の奥の古い日本の風景を今にとどめる街道沿いの旧家に棲んでおり、また秋田さんご自身も、すでにスーパーカーオーナーとしての自動車愛好家としての暮らしを謳歌されている、と言う以上に、このディノとともにごく自然に暮らし、しかしクルマを介した素敵な人たちとのかかわりの中で生きておられる、生活者である。そして日本でもこういうクルマとの付き合い、スーパーカーとの暮らしを送っている方がいるのだと感心させられたのでした。

アクセラでの道中は「よもやま話」にてお伝えしたいと思いますが、あっという間に国道1号で京都を過ぎ、9号線で亀岡を過ぎて南丹市についたのは、お約束の時間ぎりぎりでした。街道沿いに出て待っていてくださいました。

自動車の仲間が三々五々集まりはじめます

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私が到着したのはもう西日のころ。周りを山に囲まれる丹波の街は少しずつ暗くなり始めていました。古い日本家屋を改装して、今でも快適に住めるようにしてある秋田さんのお家で、待っていると、秋田さんの自動車の仲間が三々五々集まりはじめます。ディノクラブのお仲間、ディノの主治医、地域で輸入車向けのホイールなどを販売するショップの方。そしていろいろいつも秋田さんのガレージの整備をはじめ、DIYを手伝ったり、ご自身レストアなども手掛けている方。パット声をかけたら、これだけの方がすぐに集まる。素敵なことですね。

そんなことで、実際お会いするのは初対面ながら、すっかりお言葉に甘えて上がり込み、焼肉を囲みながら、地元のエンスージアストの方とのエピソード。今狙い目だと思うクルマについて、クルマを通じてこんな人がいたという話。内容自体はクルマ好きが集えば大体に通ってくるものです。しかし、当然メンバーが違いますから初めて聞く話、目新しく新鮮で勉強になるなと感じさせられること。いろいろのお話しが飛びだすものです。

こうして夜は更けていきました。あくる朝は秋田さんのディノをいよいよ見せていただけるのです。屋根裏を改装し客間は日本家屋でというか、なんだか洋館にでもいるような感覚になります。その晩はずいぶんぐっすり眠ってしまいました。

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あくる朝、目が覚めて階段を下りていくと、秋田さんはすでに起きておられて、特製のジュースを作ってくださって待っておられていて恐縮してしまいました。そのジュースはスイカを皮に近い部分まで使ったものをベースのお手製のもの。夏、そして前の晩遅くまで飲んだ体にはとてもうれしい飲み物。案外青臭さはなくて、すっと飲めてしまいました。最近はもっぱらこればかり飲んでるんです、とのこと。スロージューサーは最近利用している人が多いものですね。素材に熱が伝わらず、根こそぎ、と言いたくなるほどしっかり絞るので、栄養を余すことなくとることができますね。

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▲横のクランク棒で巻き上げると、オートチェンジャーで皆が慣れ親しんだ曲の数々を連続して奏でるオートチェンジャータイプのオルゴール。コーム(櫛)の葉の多さが豊かな音色を作り、長さがたっぷりと心に響く深い響きを創りだす。東大阪の業者が所有していたこちらのレジーナ。秋田さんのもとを訪れ、アンティークへの造詣、託すにふさわしい人かを見に来た上で託されたのだという。

最初のフェラーリから、デイトナ〜ミウラと乗り継ぎ…

そのジュースをいただきながら、秋田さんはいろんな話をしてくださいました。趣味と言うより半ばライフワークのように手掛けられている園芸のお話し。人のご縁で、このお家にやってきた大きなオルゴールのお話し。そしてそのオルゴールと一緒に譲ってもらったというかなり昔、パリ万国博覧会のころのに日本が海外に輸出していた扇子の絵柄見本のことなど実にさまざま。

しかし、そのいずれも共通するのは、言葉は悪いですが「お金を積んで買った」ようなものはないのです。好きなこと、強く印象に残ったことなどをとことん追求し、常識という、時にに先々を抑え制限するものにとらわれないで、真心で人と向かい、ご縁を大切にしてきた中で手元にやってきたものがほとんどだということなのです。

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そしてその流れで愛車の話になります。これから見せていただくディノは、亡くなったご主人が自ら日本に持ち込まれたもの。秋田さん自身も最初に購入したクルマがフェラーリ365GTC、デイトナ、そしてランボルギーニミウラと乗り継いで来られたそうです。確かに当時の暮らしからすると身の丈にあってはいなかったのかもしれません。

しかし、月におよそ20万円という高額な分割払いを、歯を食いしばって達成して手に入れたその最初のフェラーリ、これがあったからこそ、もちろんデイトナ、ミウラという多くの人にとっては憧れに終わってしまうスーパーカーの、乗らなければわからないクルマとしての偉大さ、オーラのようなものを体験できたことは財産である。それもお話を伺っていて、よくわかりますが、それ以上にそれが呼び寄せてくれたご縁を秋田さんはとても大切にされている。そのことを強く、聴いていて感じさせられたのでした。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...