旧車に乗ることをあきらめないで欲しい。国産クラシックカー部品の救世主「THサービス」

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今や世界に冠たる自動車生産国日本。しかし国産クラシックカーの部品の供給に関しては年を追うごとに悪化の一途をたどり、国産車こそ日本で最も維持が大変なクラシックカーという深刻な状況にあるというのはカレントライフ読者の皆様には周知の事かと思います。

セリカよりも本家マスタングの方が部品に困らないという事実

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最近は一部の自動車メーカーで過去の車両の部品供給の再開を検討中というアナウンスもありますが、まだまだこの状況を打破するまでには至らないというのが筆者の率直な印象です。しかし、この最悪な状況を打破しようとする情熱を持った事業を始めた方がいます。

それが今回紹介するTHサービス合同会社の平野孝之さんです。実は平野さんとは実際に何度かお会いしたこともあり、ネット上ではしばし個人的にも交友のある方です。元々は初代マスタングのグランデのオーナーで、以前書いた通り初代セリカのオーナーである筆者にとってもマスタングは非常に興味のあるクルマで、一度イベントでお会いした際にマスタングのシートに座らせてもらった事があります。

平野さんは学生時代からマスタングを自らの手でレストアをし、マスタングのレストアに関してはスペシャリストと言っても過言ではないでしょう。なにしろマスタングはアメリカンマッスルカーの中では人気車種、部品に関してはリーズナブルで供給には困りません。ヘタをしたらマスタングの後追いでリリースされたセリカよりも本家マスタングの方が部品に困らないという事実は羨ましい限り、言語の壁さえ克服すれば整備マニュアルを片手に必要な部品は本国から調達することも不可能ではありません。

中にはダイナコーンという、マスタングなどの往年のアメリカ車のボディシェルをまるごとリプロ品で製造しているメーカーも存在し、時には筆者も「どうせなら自分もセリカではなくマスタングフリークになればこんな余計な苦労はしないで済んだのに」と思う事すらあります。

なぜ海外で国産クラシックカーが数多く存在しているのか

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最近は国産クラシックカーもヴィンテージとしての評価も高くなり、中にはフェアレディZやホンダS600・S800等新車当時から日本以上に海外での方が人気のある日本車も少なからず存在します。とくにZカーことダットサン240ZはVWビートルとならんでアメリカにおける人気の輸入車なのですが、ここでふとある疑問が生じるのではないでしょうか?「日本では部品の入手困難な国産旧車が何故、輸出先の海外では数多く現存しているのか?」それはずばり、日本国内では流通していなくても、クラシックカーのリプロ部品のメーカーが存在する国では過去に日本から輸入された日本車の部品も製造しているからです。

国によっては20万km30万km、当たり前のように使うケースはいくらでもあります。東南アジアや中近東では20年も30年も前の日本車が普通に使用されている事例も珍しくありません。今後、要調査なのですが東南アジアのトゥクトゥクは戦後賠償で無償で輸出した日本の中古オート三輪をそのまま使い続けている関係で、トゥクトゥクの部品がミゼットの補修部品として使用可能という話を聞いたことがあります。

とあるレストア専門店で、日本で自動車メーカーに部品を納入している部品メーカーが、国内のメーカー純正部品販売を製造廃止にした一方で、海外の部品販売会社にはメーカー純正部品と全く同じものを納入しているという話を聞いたときはなんとも複雑な思いに駆られました。海外では当たり前のように流通している、日本車用リプロ部品をアメリカ本国からのマスタングの部品調達のノウハウで日本の国産旧車オーナーのために日本に入れることは出来ないか?と立ち上がったのはTHサービスの平野さんです。

THサービスを立ち上げたきっかけと苦労

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きっかけは日本では部品の入手が年々困難になるトヨタ車をはじめとする、国産旧車オーナーの知人が皆部品の入手に悩んでいるのを目の当たりにし、古い日本車がまだ使われている国ならマスタング同様、リプロ品の古い日本車用の部品を入手することが出来るのではないか?と考えた所から始まりました。すると案の定、古い日本車が今でも沢山走っている東南アジア、特にタイには日本車のリプロ部品メーカーが存在することを突き止め、マスタングの部品入手のノウハウを活かして、東南アジアから日本車用の部品を入手するルートを確立するに至ります。

とはいえ、リプロ部品を扱うというのは容易な事ではありません。平野さんも、いくらマスタングが本国ではリプロ品が流通してるからといっても、当初は簡単に本国のリプロ部品メーカー部品を取り寄せれば済むという物ではなかったようで、同じ部品でも複数のメーカーからリリースされていて値段も品質、性能もバラバラで、とりあえず一時しのぎ程度にしか使えない耐久性の低い物からメーカー純正と遜色ない品質の物までまちまちで、中には同じ部品メーカー製でフォード社のロゴ入り純正品同様の扱いで販売されているか、フォードのロゴ無しの社外品のノンブランド品として販売されているかで中身は全く同じ部品で値段が違う、というケースもあったそうで、必ずしも高価な部品でなければならないというわけでもなく、どれが実用に耐えうるものか、価格に見合った品質なのかそれを見極める審美眼のノウハウの蓄積にはかなり苦労されたとのことでした。

ただ、最近は何処のメーカーも製作技術が向上し全体的にはリプロ部品の品質が向上しているようで、リプロ部品のラインナップも年々広がり、レース用のホモロゲモデルや限定モデルなど、よほど珍しいモデルでもない限りたいていの部品は手に入る等、ますます初代セリカオーナーの筆者には羨ましい限りです。

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...