空冷ポルシェ911は値上がりし高値のままなのか?その道のプロに聞く

最終更新日: 公開日:2015-12-24 | Posted in ライフ by

今年に入り、さまざまな雑誌やWebなどで「空冷ポルシェ911が値上がりしている」ことが紹介されました。その結果、ポルシェファンはもちろんのこと、多くのクルマ好きにとって周知の事実となりました。

欧州車に限らず、日本車でも、これまでRMオークションに出品される日本車といえば、トヨタ2000GTやKPGC110型スカイラインGT-Rなどの1970年代前後のモデルが主でした。しかし、2016年1月に開催されるオークションでは、1989年式のR32型スカイラインGT-Rが出品されることが決まり、驚いた方も多いのではないでしょうか?

プロに聞く。2016年も空冷ポルシェ911は高値のままなのか?
出典:http://hexagonclassics.com/

そんな「一昔前に比べて高くなった感」のある空冷ポルシェ911ですが、2015年もあと僅かとなった現在はどうなのでしょうか。ここは推測論ではなく、根拠をもった情報をカレントライフを通じてお伝えできればと思い、その道のプロの方にインタビューしてみました。

カレントライフの運営母体となるカレント自動車の買い取り部門である「外車王」で、お客様からの買い取り依頼のあったクルマ(特に輸入車)の査定額をジャッジする立場にあるA氏に直接インタビューしてみました。日常的にさまざまな空冷ポルシェ911の査定額を決めている方ですから、最新の情報をお持ちのはずです。

このまま空冷ポルシェ911は、値上がりし高値のままなのか?

プロに聞く。2016年も空冷ポルシェ911は高値のままなのか?
出典:http://www.jzmporsche.com/

江上:単刀直入にお聞きします。空冷911の相場っていまも高値安定なのですか?
A氏:いまは「高止まり」といった状況でしょうか。無事故・1オーナー、2オーナー・整備記録完備といった個体は常に需要がありますし、やはり高値安定ですね。これが少し前でしたら「空冷のポルシェ911であれば何でもok」という状況でした。しかし最近は、新車当時のオリジナル度が高い個体ほど需要があります。より具体的にいうと「完品度」が重要視されますね。取扱説明書なども重要なアイテムのひとつです。欧米では古いクルマを「工業的芸術品」と見る傾向があるので、発売当時の雰囲気を残しているクルマほど人気が集中するのは当然のことかもしれません。

プロに聞く。2016年も空冷ポルシェ911は高値のままなのか?

江上:近頃は、買い取り依頼をされるユーザーさんも高値買い取りを期待されるのでは…?
A氏:そうなのです。お客様の間でも「空冷ポルシェ911は高く売れる」という情報が浸透しているようです。しかし、前述のとおり「空冷911であれば何でもok」という状況ではなくなりました。オリジナルから手を加えた個体ほど需要が低くなる印象です。できるかぎりオリジナル(ノーマル)コンディションで、内外装や機関系の状態がよく、点検整備がきっちり行われていることが証明できる整備記録簿が揃っている。多くのお客様が中古車を買うときに求める条件がそのまま当てはまるイメージです。

江上:海外に流れた911が多いとも聞きますが、真相はいかがですか?
A氏:はい。事実です。日本のポルシェは値段の割に程度が良いし、記録簿などの素性もしっかりしているからこそ需要があるのです。事実、そういった程度の良い個体の多くがすでに日本から海外に流れていってしまっています。しかし最近は、海外からの問い合わせは減少しているのが現状です。

江上:いまだに値上がり傾向のモデルはあるのですか?
A氏:あります。最近では930カレラの価格が上昇傾向です。

プロに聞く。2016年も空冷ポルシェ911は高値のままなのか?

江上:964や993など、MT車が人気がなのは変わりありませんか?
A氏:964や993のMT車は常に人気がありますね。カレラのMT車は、もはや限定車やターボなどのような特殊なモデルに近い認識の方が良いのかもしれません。現在はもちろん、当時から数が少ないですから、事実上の稀少車のような存在ですね。

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江上:911にはさまざまな限定モデルが存在します。そういった特殊なモデルはいかがですか?
A氏:こちらも同様に根強い人気があります。特に964RSや993RS、各モデルのターボなど、限定車はもちろん、特殊なモデルも同様です。1973年式ポルシェ911カレラRS2.7、通称ナナサンカレラなどは、私の感覚からしても、いまだに目玉が飛び出るような価格です。

江上:難しい質問をします。いま、売る/買うタイミングを迷っている方に、どうアドバイスされますか?
A氏:冒頭で申し上げた通り、いまは高止まりの状態です。「そろそろ手放してもいいかな…」というお考えでしたら、早めにご決断された方がよいかもしれません。国内相場が高くなったから思い切って手放そうとする方がいらっしゃる反面、「手放したら二度と買えない」と感じ、改めて乗り続けることを決断した方も少なからずいらっしゃいます。年が明けて、相場がどうなるか?これまで買いどきを見計らっていた方にとっては好機が訪れる可能性だってありえます。

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江上:ズバリ、数年前のような相場に戻ることは今後あると思いますか?
A氏:これは私の主観ですが、おそらく難しいでしょう。5,6年前の雑誌広告などの販売価格を見るとびっくりしますよね。この限定車がこんな値段で買えたんだって。当時より日本に残っている空冷911は確実に減ったでしょうし。ちょっと頑張れば手が届きそうな個体もあっただけに、今後どうなってしまうのか、私たちにも先が見えない状況なのです。

空冷ポルシェ911の価値、現状を総括すると

・現在は高止まり傾向
・直近では930カレラの価格が上昇傾向
・かなりの数の空冷911が海外に流出している
・海外需要では特に、新車当時のオリジナル度・完品度が重要視される傾向が強い
・無事故・1オーナー、2オーナー・整備記録完備・内外装程度良好の個体は高値安定
・MT車、RSやターボ、限定車も高値安定
・数年前のような相場には戻らないのではと予想される

…といったところでしょうか。

一般ユーザーはもちろん、プロの方でも読めないという空冷ポルシェ911の相場。2015年の総括としては「高値安定」として締めくくりますが、2016年はどうなるのでしょうか?来年も、この動向を探っていきたいと思います。

ここからは余談です。

▼ナナサンカレラ関連本の決定版と呼ばれている「RS BOOK」の改訂版が発売されました。こちらは約20年振りの改訂です。前回同様3,000部限定。
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出典:https://www.tag-books.com

▼以前発売されたこちらは、ebayなどのオークションでも高額取引されるようなコレクターズアイテムとなっています。
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なお、RS BOOK改訂版は記事執筆時点で、価格は438ユーロとなっています。

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この記事の筆者:江上 透

カレントライフの副編集長。輸入車関連のセールスプロモーション、ウェブサイト、紙媒体、ラジオ番組の...