石原さとみさんの「趣味は試乗!のCM」を観て思うこと

最終更新日: 公開日:2017-06-10 | Posted in ライフ by

最近、女優の石原さとみさんが、助手席から笑顔で「趣味は試乗!」とコメントしているCMを見掛けます。

石原さとみさんの笑顔にとろけそうになったのはさておき、初見の率直な印象として「(あくまでも筆者の感覚ですが)よくあの企画を通したなあ」と思ったことも事実です。メーカーと広告代理店が、意図的に現場との距離感を取ったのか、それとも・・・?

現場としては「お客様があのCMを真に受けるのは・・・」が本音?

石原さとみさんの「趣味は試乗!のCM」を観て思うこと

筆者の後輩の1人があるディーラーで仕事をしているのですが、彼曰く「あのCMを真に受けるのは正直いって勘弁して欲しいです・・・」とのことでした。

そうなんです。例えば、デパ地下でいつも試食だけして、まったく現物を買わない人がいるとしたら・・・。自然と要注意人物として関係者にマークされてしまいます(とはいえ、よほどのことがない限り、出禁になることはないでしょうけれど・・・)。オイ、江上よ、食品とクルマはさすがに違うだろうといわれそうですが、「いつまで経っても何も買わないで消費者側の都合で利用する」という点では同じだと思うのです。

仮に「趣味は試乗!」という方が実在するとしたら?

石原さとみさんの「趣味は試乗!のCM」を観て思うこと

仮に「趣味は試乗!」という方が実在するとします。仕事の休みは土日です。多くのディーラーがフェアを開催していて、終日さまざまなお客様が来店します。これに加えてサービス入庫(いわゆる点検整備)の来場者もいます。DMやインターネット経由で告知した週末はてんやわんやですし、またそうでなければディーラーも困ってしまいます。限られた予算のなかで、チラシやDMを作成したり、ネットに広告を打ったり、来場記念品を揃えたり・・・。毎回、馬鹿にならないコストが掛かっています。

そこに、試乗が目的の一見さんである「趣味は試乗!のあなた」が来店したとします。ディーラーとしては、よほど特殊なモデルやブランドでない限り「買う気がないなら試乗はできませんよ」的なオーラは発しませんし、ましてや口にはしないはずです。そして、上顧客でない以上、試乗する際には、ディーラーのスタッフ(新人のセールスが同行するケースが多いようです)が助手席に座ります。予め、試乗コースを何パターンか決めているディーラーが多く、たいていは短めのバージョンが選ばれます。それでもコースは短いなりに練られており、加速感やハンドリングを味えるように考えられているケースが多く、そのクルマの片鱗が感じられるはずです。ショートバージョンの試乗とはいえ、何だかんだでコースを一回りするのに15〜20分くらいは掛かるでしょう。

石原さとみさんの「趣味は試乗!のCM」を観て思うこと

無事に試乗が終わりました。あなたは上機嫌でクルマから降ります。クルマの印象が非常に良かったからです。ショールームの空いている席に案内され、あなたは試乗した感想を若いセールスに向かって熱く語ります。心優しい新人セールスは笑顔で相づちしてくれますし、それに気をよくしたあなたはさらにインプレッションの感想を話しつづけます。そのうち、美しいショールームレディがコーヒーのおかわりを持ってきてくれます。ここまでで、1時間くらいの時間があっという間に過ぎています。

新人セールスとしては、可能性の有無に関係なく1人でも見込み客を増やしたいところです。頃合いを見て、乗ってきたクルマの査定と見積もり、(顧客リストを得るための)簡単なアンケートをあなたにお願いをします。そこであなたはいいます「いや、試乗しに来ただけなんで。カタログだけもらえますか?」。それでも新人セールスはイヤな顔ひとつせずに、棚から封筒に収めたカタログ一式を持ってきて、それをあなたに渡し、見送りの準備をしてくれます。大通りに面したディーラーは交通量が多く、新人セールスがクルマの流れを止めて、あなたが出やすいようにしてくれます。あなたは一礼してディーラーを去ります。ここまでで1時間半。あなたが帰ったあと、新人セールスは先輩セールスやマネージャーなどに「もっと早く切り上げて見込み客になりそうな方を相手しろ!」と怒られているかもしれません。あくまで一例ですが、概ねこんな感じです。

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この記事の筆者:江上 透

カレントライフの副編集長。輸入車関連のセールスプロモーション、ウェブサイト、紙媒体、ラジオ番組の...