クラシックカーライフを謳歌している人、あきらめた人。選ばれる人、選ばれない人。

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いわゆるクラシックカーという物に乗っていると、極上コンディションの愛車でメディアにも登場し、イベントのコンクールではいつも賞を取り、まるでエンスー系自動車雑誌のようなヴィンテージカーライフを謳歌している人と、度重なるトラブルに見舞われ、日に日に不具合とボディの錆や腐食が進行しついには所有を断念してしまう人が居ます。一体その違いは何処にあるのでしょうか?

クラシックカーオーナーのいう言葉に騙されるな

まず、先にお断りしておきたいのですがクラシックカーオーナーのいう、

「このクルマは基本は頑丈で全く手がかかりません」

を文字通りに真に受けてはいけません。筆者が昔、とあるクラシックカーイベントで初期型のトヨタ2000GTのオーナーの話を聞いていた時に、

「いや~、流石トヨタのクルマ、この子は全く手のかからない、親孝行の良い子です。」

と言っていたのですが、ご存知の通りトヨタ2000GTは今や、その時価評価は1億円とも言われ、エアコン付きのガレージでの保管は必須、年間維持費は100万円とも150万円とも言われてます。

ではなぜ、そのオーナーは「手のかからない良い子です」と言ったのか?そのトヨタ2000GTオーナーがその時着ていたジャケットにはマセラティのエンブレムが縫い付けてありました。つまり、1960年代の時点でのイタリア製の手作りの少数生産のスーパーカーと、世界市場の進出を視野に品質改善に日夜取り組んでいたトヨタ車のフラッグシップモデルを比較しての話だったのです。

他にもランチア・フルビアといすゞベレットのオーナーも同じような事をいっていました。ある自動車雑誌で読んだ記述ではアルフォロメオ1300GTA(段付き)で110km/h巡行でもオーバートップに入れるとカブるとか、ある旧車関連のムック本のコラムの記述ではスーパーカーブーム時代のフェラーリやランボルギーニは実際の所日本の町中では1速2速でしか走れなかったという話もあります。

クラシックカーオーナーは故障を故障と認識していない?

温暖湿潤で気候変動の激しい上に山岳路も多く、使用環境も過酷な一方、高速道路の整備も始まった日本で、世界市場の進出も視野に入れ、どんな国、どんな使用環境でも高品質、低故障率で顧客から最強の信頼性を勝ち取る事に商機を見出した日本車であればツインカムの3連装ソレックスのトヨタ2000GTですらセッティングが決まれば渋滞の多い町中をトップギアで走る事すら可能です。(ゆえに数値上のエンジンパワーは欧州のスポーツカーよりも若干見劣りするわけですが)

実用車のブルーバードやコロナに至っては基本機関系は故障知らずで整備次第ではエンジンは10万km20万km走り切る事も可能、当時のカタログで既にメンテンスフリーを謳っていたりもします。でもそれはあくまで1960~1970年代の技術レベルでの話であって、今のクルマのようにガソリンを入れてディーラーからエンジンオイル無料交換キャンペーンのDMが来た時にエンジンオイルを交換すればいいという感覚と同じに考えてはいけません。その年代の車両のオーナーはゴム類やサーモスタット、接点ポイントといった定期交換部品の消耗による不具合は故障として認識していません。」

下手をすればクラシックカーオーナーのいう故障というのは、エンジンや駆動系の部品の破断や焼き付きと言った車上整備程度ではどうにもならない走行不能の状態になってようやく故障したという認識です。まずこの時点でもう無理だという方はクラシックカーのオーナーになる事はお勧めしません。

それを承知の上で、クラシックカーに手を出したもののやっぱり度重なる不具合に耐えきれず結局希少な愛車を手放してしまうという話はたびたび耳にします、一方でミュージアムコンディションのようなクラシックカーのコレクションと共に充実したクラシックカーライフを謳歌し、中には極上コンディションで新車当時の一桁ナンバーの付いた車両を新車当時から大切にしているオーナーから譲り受けたなんていう人もいます。こう言うとやっぱり「金とコネの力」なのかという方もいますが決してそんな単純な話でもありません。

現在市場に流通している個体は訳アリの可能性あり

よく考えてください、読者の皆様がご自分の愛車を手放すときはどういう時ですか?

「古くなって飽きた」「新型が出た」「ヤレやマイナートラブルが目立つようになった」

なにかしら手放すことになった理由があるはずです。よく、「クルマの買い替えを考え始めたとたん急に調子が悪くなった」なんて言う話も聞きますが、下手をすれば二束三文で買いたたかれるかもしれない処分予定のクルマにわざわざ整備に手間をかける人もそうそういないでしょう。セレモニーみたいなもので最後に洗車してワックスをかけるというくらいはするにしても、処分予定のクルマをゴム類やベルトなど消耗品交換してから手放すなんてことはまずしないでしょう。友人がポルシェ911を探しているとき一度だけ993型ポルシェ911の中古車で「前オーナーが次のオーナーがポルシェで苦労してポルシェを嫌いになってほしくないから、ポルシェを最高の状態で堪能してほしい」という理由で、売却予定の993にわざわざリフレッシュプランの消耗品交換をしてから売却したという物件をみたことがありますが、そんな人もそうそういないでしょう。

つまり、現在市場に流通しているクラシックカーは何かしら訳アリで前オーナーが手放している可能性のほうがはるかに高いのです。そんなクラシックカーがなんの苦労もなく乗れるはずがありません。まず、乗っているうちに「どこかしら壊れて当たり前」なのです。

現在、極上コンディションのクラシックカーでクラシックカーライフを謳歌している人は、そこにたどり着くまでに相当な労力もしくは出費を要したはずです。先日ツイッターで「旧車に乗るのはおじいちゃんを介護するようなものだ」というツイートを見かけたのですが、介護ならまだいいほうです。何十年も前の車両を新車当時に近い状態に戻そうとするフルレストアに至ってはもはや狂気にとりつかれたフランケン・シュタイン博士が自ら墓を暴いて集めた死体をつなぎ合わせて人造人間を作りだそうとする行為に近い物です。

苦楽を共にした愛車でカーライフを堪能している

「門前の小僧習わぬ経読む」と言いますが、20年近くクラシックカーに乗っていると素人の私ですら、ある程度の目利きが出来るようになります。実際、何百万円も出して買ったんだろうなぁというフルレストア済のクルマをみて、「これ、フェンダーの裏とか、塗装の下とか大変な事になってるんだろうなぁ」とか、逆にネット上の画像を見ただけで「これ、見た感じはヤレててレストアは必要だけどフレームの状態は絶対にいいぞ」と思うことがたまにあります。フルレストア済と思って買ったクルマの塗装表面にクラックが入っておそるおそるつっついたら、ボロっとパテの塊が落ちて、アルミテープやガムテープで腐食の穴をふさいだ上からパテが盛りつけてあっただけだったとか、酷いと新聞紙を詰めてその上からパテが盛ってあったなんて言う話はこのテの古いクルマに乗っていれば日常茶飯事です。

私のセリカLBのレストアを依頼した整備工場の社長は、

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...