今から20年前。カナダから1965年式のポルシェ911を個人輸入した時のことを思い出してみる

最終更新日: 公開日:2015-11-24 | Posted in ライフ by

今から20年前にカナダからポルシェ911を個人輸入した時のことを思い出してみる。

まず、1995年はどんな年だったか、というと確かにWindows95が出た年ではあったが、一般家庭にはまだPCは普及していない頃だった。なので、当時インターネットを使えるのは仕事でネットに携わっていたほんの一握りの人だけだったように思う。Facebookもmixiもtwitterもない時代だ。携帯電話もそれほど普及していなかったように思う。コミュニケーションのメインはメール。ネットへの発信は「news」というシステムが使われていた。当時はネットワークもまだ貧弱で、会社ではあっても常時インターネットへ接続していないことが珍しくなく、「時々接続する」ことを前提にインターネットは設計されていた。「news」は色々なカテゴリー(グループ)に分かれており、新しいプログラム言語の評価も個人的な不要品売買も、果てはアダルト画像の流通もその「news」の中で行われていた。その中でクラシックカーの売買をするグループで1965年式のポルシェ911が売りに出ているのを発見したのは、1995年の初夏だったと思う。

当時、筆者は1957年式のKarmannGHIAに乗っていたが、知人が入手した1967年式の911Sを運転する機会があり、完全にポルシェの虜になっていた。また、1965年式ということには別の意味もあった。筆者自身も1965年式ということもあり、いわゆる「Birth Year」のクルマを探していたわけだ。1965年はポルシェにとって356から911へ切り替えるタイミングで、併売されている年だった。1965年式の911は、いわゆるショートホイールベースで、エンジンは2000cc。日本の5ナンバーに納まるサイズでもあった。シートは出荷月によっては356のものが流用された。会社の休み時間に「news」で1965という文字列を検索する毎日だった。そして見つけたこの911に一目ぼれだった。ノーマルではSolexのキャブが装着されているが、このクルマはWeberに交換されていた。これは67年以降の911Sに使われていたものだった。イグニッションもMSDという装置に交換されていて、コイルレス仕様となっていた。他にも917用のフューエルポンプなど細かい改造が施されていた(と書いてあった)。そして、ノーマルのSOLEXキャブも一緒に送ってくれるとのこと。そして、送られてきたのが下記画像そのもの。当時のインターネットのメールに添付できるぎりぎりの20KBの写真1枚だけだった。

今から20年前。カナダから1965年式のポルシェ911を個人輸入した時のことを思い出してみる

今だから告白しておくと、当方も先方も勤務先の会社のドメインのメールを使ってやりとりをしていた。今なら完全にアウトだと思う。オークション形式だったので、12,600ドルで入札した。ちなみに、当時は空前の円高で、1ドル80円程度だったため、ちょうど100万円くらい、ということになる。当時のナローポルシェの相場が10,000ドル~12,500ドルだったので、そのちょっとだけ上を行った作戦だった。果たしてその金額で落札となった。前オーナーからのメールにはこう書かれていた「私は車を売ったのではない。プロジェクトを続ける権利を売ったのだ」と。その意味はあとで知ることになる。落札したので送金の手続きに移った。本当に他の入札者がいたかどうか、などは実際にはわからない。送金は全て銀行の窓口でやったと思う。細かいことはすでに記憶が薄れているが、前渡し金で2,600ドルを送金し、先方が船に乗せたという連絡をしてきたところで残金を送金したが、先方が悪い人だったら、騙し取られてもおかしくない状況ではあった。当時は「ネットにいる人は善人しかいない」と言う根拠のない定説を信じるしかなかった。「送金先の口座番号だけはメールに書きたくないので、電話する」と言われて、夜中に口座番号だけを伝えるために先方が電話をしてきたこともあった。

当時は、1974年以降に製造された車を輸入する場合、「ガス検」という排気ガスに関する検査資料が必要だった。この検査は1回の検査で10台までが輸入できたため、自分の分の検査を受けた人が「ガス検枠」という形で権利を売ったりしていた。1973年以前の車の場合には、このガス検は不要なため、通関時に「1973年以前の車である」という証明をすればよかった。

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この記事の筆者:ryoshr

若い頃から空冷VWを楽しむ自称「クルマ好きのおっさん」。IT企業に勤務している知識を活かして、1990年...