ドイツ企業を狙う巧妙な詐欺が急増中!「USTID-Nr.de」を調べてみた

最終更新日: 公開日:2016-04-26 | Posted in ドイツ現地レポ by

昨年某日、カレントライフを運営するカレント自動車のドイツ現地法人に一通の手紙が届きました。その後も複数回に分けて送られてきた手紙の発送元は、ドイツ企業登録局(Deutsches Firmenregister)。オフィシャルな響きの名前ですが、実は要注意の団体で、実際は国の機関でも何でもありません。ドイツにてサービス業または設立して間もない新規の会社、個人事業主を狙って振込詐欺の手紙を送り続けている悪徳グループ。この手紙を受け取った複数のドイツ企業が弁護士協会に相談した所、ぼったくり目的の詐欺であることが判明し、弁護士達が各自HPで注意喚起をしています。今回、実際に送られてきた手紙や情報を元に、この件に関してのポイントをまとめてみました。

まず相手の会社はボンに拠点を構えるDR Verwaltung AG(DR管理株式会社)だそうですが、加えて「Deutsches Firmenregister(ドイツ企業登録局)」の名前で手紙を送っています。まずはこの名前をネットの検索にかけてみたところ、ドイツ企業登録局のサイトらしきものと各法律事務所のホームページがヒット。そこには「Abzocke(ぼったくり)」「Vorsicht(注意)」「Falle(詐欺)」の文字が載っており、有名な詐欺ケースになっていることが分かりました。


▲検索結果のスクリーンショット(筆者撮影)

ドイツ企業登録局の名前の他に「USTID-Nr.de」とサイト名らしきものも記載されているのですが、この「USTID-Nr.」はUmsatzsteuer- Identifikationsnummer(付加価値税認識番号)の略称です。付加価値税は日本で言う消費税で、同税は生産や製造、小売りなどすべての売り上げが対象となっていますが、仕入れ費用などは控除されることから一般的に売上税とも呼びます。

登録が義務付けられているかのように見せかける

一体どういう話かをざっくりと説明しますと、企業の売上情報等をネットで管理できる有料ポータルサイトへの登録の勧誘です。登録は任意であるにも関わらず、公的機関からの通達で、登録が義務付けられているかのように見せかけ、支払わなくてもよい金額を騙し取ろうとするのが目的です。

送られてくる手紙の内容に関しては「2011年の税制改革により納税情報を簡素化」「売上及び付加価値税監査と会計調査の義務付け」などの法律・条例云々の書き出しから始まり、その調査簡素化のためドイツ企業登録局が運営しているUSTID-Nr.deのオンラインデータバンクに付加価値税認識番号をはじめ売上会計や内訳などの企業情報を登録・開示するように説明。

手紙ではこのデータバンク登録には登録料が発生するということにも触れてはいますが、最後に脱税防止のために付加価値税認識番号の申告は「法律で決められている」とも書かれており、何やら必ず登録しなければならないような印象を思わせます。

ですが、実際オンラインポータル上での付加価値税認識番号及び売上会計の開示というものは、自身の会社のHPまたは会計報告書を除いて公表する義務はありません。このような法律に基づく情報開示の勧告書は、国の機関から発行されなければならないものであり、ただポータルサイトを経営する見ず知らずの会社が要求するというのは信ぴょう性に欠けると言えます。「法改正」「義務」などの言葉を使い、相手の会社の不注意や税務・法律関係の無知の穴につけ込んで金儲けをしようというただの利益目的でしかないのです。

通常ならプライベート企業の宣伝の手紙が来たところで、必要なければ無視すればよい話なのですが、それでも被害が出てしまった大きな原因は、上記でも触れたように「公的機関からの通知と思わせる」相手側の巧妙かつ悪質な手口にありました。他にも注意すべき要点をいくつかまとめています。

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この記事の筆者:NAO

在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し...