世界初のEVドリフトカー、そこにはクルマの楽しみを追求するストーリーがある

最終更新日: 公開日:2015-04-16 | Posted in イベント by

春めいた日が混じってきた頃、カレントライフ編集部から「プリウスのEVを見に行きませんか?」という誘いがありました。一瞬なんだか「何か特別なこと?」と思ってしまっのは事実です。古いクルマに触れることも多かったりするので、「純然たる内燃機関のクルマかそれ以外か」でなにか勝手に区切っている傾向がありました。そういう基準からすると「プリウス=ハイブリッドカー≒電気自動車」のような感覚に、正直一瞬なり、特別なことではないような気を起こしてしまったのです。しかし、それは私の短慮というものであります。

聞けば、ドリフト競技に出場するために開発されたマシンだそうです。エンジンとモーターで美味しいところを分担して走るハイブリッドカーと、電気(モーター)だけで走るEVというのは「ずいぶん話が刻んでいるな」と思ったりしたものですが、全く違うものです。(行っみたら、その安易な予感がとんでもない見当違いだということがわかるのですが。)そしてイベントをすると毎回大変盛り上がるドリフト競技に出るプリウスも、ドリフト競技に出るEVも大変珍しいではありませんか。そのコンバートの話も興味深くもあり取材させていただくことが、いつしかとても楽しみになっていたのでした。

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プリウスという存在の妙

「身近なクルマだからこそ意味があるのです」
横浜市都筑区の株式会社オズコーポレーション代表取締役の古川治さんはそうおっしゃいました。長いことクルマのカー用品やドレスアップなどの自動車のアフターマーケットで事業を展開されてきたのだとか。ただ、個性を表現する、より自分の使い方にあった機能を付けるアフターマーケットの意義はあるものの、自動車業界全体がエコに対する問題意識のある中、必ずしもエコではないばかりか、時には逆行するような製品の販売やカスタムをすることもしばしば。もっと真剣にエコを考えながら、しかし、クルマの魅力を多くの人に身近に感じてもらうような仕事ができないかということで、EVでモータースポーツに参加することを思いついたのだとか。

数あるモータースポーツの中でドリフト競技に照準を合わせたのは、現状の技術水準において、「短時間決戦である」ということは大きな理由でした。そしてEVなら、いきなり大きなトルクが発生できることもドリフトでは好都合でした。

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しかし、いざ開発を進め、どのクルマをベースにマシンを作ろうか、ということでかなり悩んだと言います。既存の参戦マシンとは別のクルマがいい。しかもできるだけみんながよく知っているクルマで何かないか。ちょうどそのとき普段のアシで古川さんご自身がプリウスに乗っておられていて「このクルマならみんな知ってるのではないか」ということでプリウスをベースにすることを決めたというのです。

プリウスというとどこか自動車趣味の対極にあり、ともするとクルマの楽しみの追求の真逆を向いたクルマのように受け止められかねない、少なくともモータースポーツの匂いのするクルマではなく、みんなが知っているクルマという立ち位置にこそ、ベース車として選んだ理由の本質があったのかもしれません。

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実際は「案ずるより産むが・・・相当大変!」なプリウスのEVコンバート。

「特に大変だったことは?」
やはり、この質問はさけられないだろう思い尋ねてみると、にこっと笑って「うーん、全部」とおっしゃる古川さん。

ドリフト競技に出ることを想定しているのでFFをFRレイアウトに変更。そうすると当然トランスミッションなども元々のものは使えず、新たにセッティングしなければなりません。ステアリングも使えませんので専用に設計し直しです。そしてハイブリッドの仕組みが介在するところはすべて要らないので「こんなことなら、作業はただのガソリン車からコンバートした方がよほど楽」なのだそうです。それでも面白いことに、ホイールベースが実はFRモデルのチェイサーとほとんど同じなのだとか。ですので、チェイサーの部品がかなり流用できたそうです。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...