趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。

最終更新日: 公開日:2015-09-05 | Posted in エンタメ by

先日、編集部より「前回のオーナーインタビューと絡めて、シトロエンBX 4TCへの愛をミニカーコレクションとしても語っていただけませんか?」という依頼がありました。そこで実車の話を含めたBX 4TCのミニカーの話を展開する予定でしたが、あまりにもボリュームが増えてしまったため、2回に分けてお届けします。ということで、今回はシトロエンBX 4TCの魅力について語りたいと思います。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。

オーナー目線で見たシトロエンBX 4TCの魅力とは?

初対面の人からは「なぜシトロエンBX 4TCを買ったですか?」と、よく聞かれます。その理由は、かつてWRCに出場していたグループB車両のなかではもっとも謎の多い存在で、実際にどんなクルマなのか確かめたいという好奇心からです。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。
日本のメディアではほとんど取り上げられる機会がなかったシトロエンBX 4TC。そのため海外の雑誌などを注文したり、BX 4TCオーナーが登録しているBX 4TC Registerのメンバーになるなどして情報を入手しています。手前はBX 4TC Registerが不定期に発行している会報誌。

グループB車両にはランチア、プジョー、アウディ、フォードなど、素晴らしいベース車両がたくさんあり、輝かしい戦績も残しています。反面、シトロエンBX 4TCの戦績は散々たるものです。1986年の開幕戦、モンテカルロ・ラリーでデビューしたものの、SS1で1台がサスペンショントラブル、もう1台はSS6でクラッシュしてリタイア。第2戦のスウェディッシュ・ラリーでは 1台をトラブルで失ったものの、もう1台が6位に入賞。そして3戦目となるアクロポリス・ラリーではSS1で2台がトラブルで脱落、残る1台もSS2でクラッシュして全滅。このラリーを最後にシトロエンはWRCでの活動を休止してしまいました。

以上がWRCにおけるシトロエンBX 4TCの活動のすべてです。後にシトロエンに乗るセバスチャン・ローブが2004年から2012年まで9年連続WRCチャンピオンに輝いた歴史とはあまりに対照的と言わざるを得ません。さらに1986年でグループBが廃止されたため、ホモロゲーション取得のために製造した車両のほとんどが売れ残りました。なぜならBX 4TCの新車価格は、当時のスポーツモデルだったBX Sportの2.5倍近い高価格だったからです。わずかに販売した車両にも不具合が多発したこともあり、シトロエンはついに販売した車両の買い戻しを決断。それらをまとめてスクラップにしてしまったのです。シトロエンが販売車両を自ら回収して処分した例は、ロータリーエンジン車の「M35」、「GS Birotor」に続くもので、シトロエンの乗用車における3大黒歴史のひとつとなっています。

そのため、BX 4TCは日本で話題に上る機会がほとんどなく、私自身も自分のクルマを見るまで現物を見る機会がありませんでした。私にとってBX 4TCの最大の魅力は、歴史探究の楽しみがあることです。内容がマニアックすぎるため今回は割愛しますが、少ない資料のなかから事実を掘り起こしていく作業は、面倒ではありますが新たな発見があって楽しめます。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。
FIA(当時はFISA)にホモロゲーションを申請するための書類は、市販車と競技車両の詳細が分かる貴重な資料。バックに敷いてあるのは、当時シトロエンが製作した1986年のモータースポーツイベントカレンダー。

ラリー仕様の外装パーツが付いてきた!

購入を後押ししたもうひとつの理由が、ラリー仕様のエボリューションモデルのキットが含まれていたことです。競技用車両として20台が製作されたBX 4TC Evolutionは、WRC撤退後、一部の車両がラリークロスに使われたり、博物館に収蔵されたほかは、現在も半数以上が消息不明となっています。そんなワークスマシンのボディキットがどういう経緯で前オーナーの元に来たのかは不明ですが、購入時の写真にはボディの後ろ半分にボディキットを装着した姿がありました。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。
私のクルマがかつてフランスにあった時代に装着されていたとされるEVOキット。本来ラジエターとオイルクーラーが収まる場所が開口されていないため、異様なボリューム感があります。

当初はEVOキットを使ってBX 4TC Evolutionレプリカを製作しようかと思っていました。しかし、BX 4TC Evolutionはインレットマニフォールドの取り回しが市販車と異なるため、ボンネットのパワーバルジが低く、そのままでは装着できないことが分かりました。そのため、レプリカ計画はペンディング中です。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。
BX 4TC Evolution用のボンネットはFRP製で、開口部には金属製のメッシュが装着されていました。

これらのボディキットが果たして本物なのか、あるいはリプロダクション品なのかは今後検証してみるつもりです。購入してから8年以上経つのに未開封なんて、人によっては信じられないかも知れませんね。でも、これも趣味を長続きさせる秘訣なのではないかと思うのです。

趣味と実用を兼ねたコレクション?シトロエンBX 4TCの魅力。
EVOキットの左側フロントフェンダーはダブルシェブロンと”Accessoirie”の文字が入ったテープで封印されていますが、果たして真相はいかに?

クルマ趣味におけるサスティナビリティ

「購入時に部品供給や整備の不安はなかったのですか?」とよく訊かれます。「実車が観たい」というモチベーションだけで購入したので、はっきり言って「なんとかなるだろう」としか考えていませんでした。そういう不安をまともに考えていたら、たぶん購入を断念していたでしょう。趣味のクルマには、ある意味「鈍感力」が必要だと思うのです。

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この記事の筆者:北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人にな...