各国要人を守り80年以上!メルセデス・ベンツの防弾車両「MB-Guard」をミニカーから紐解く

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ドイツのメーカーは防弾車両を市販している

MB-Guardとは、メルセデス・ベンツがテロなどの攻撃から乗員を守るために製作している防弾車両のブランド名です。日本への導入計画はありませんが、実はドイツの自動車メーカーはこのような防弾車両を市販モデルとして用意しています。例えば、メルセデス・ベンツは[MB-Guard]、BMWは[BMW Security]、アウディは[Audi Security]というブランド名をそれぞれ持っています。

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▲写真はメルセデス・ベンツが製造する防弾車両[MB-Guard]の顧客向け資料とプレスキット。BMWとアウディも同様の防弾車両をラインアップしていて、ホームページで詳細を知ることができます。

防弾車両といっても、外観から判別できる点は極めて少なく、防弾ガラスの厚みやタイヤ/ホイールに違いがある程度。ほとんどの人は普通の車両と区別できないと思われます。しかし、そのつくりはノーマルとはまったく別物。銃撃を受けても客室内に貫通しないよう強化されたボディと防弾ガラス、タイヤを撃ち抜かれても走行を続けられるランフラットタイヤ、爆発の衝撃に耐える燃料タンク等々。その姿はまるでスーツの下に防弾チョッキを着込んだボディガードのようです。もちろん、それらの車両は1台1台手作りで製造され、販売もメーカーの特殊車両部門が受け持ちます。

80年以上の歴史を持つメルセデス・ベンツ防弾車両

なかでも昔から国家元首や王侯貴族によって愛用されてきたメルセデス・ベンツは、1928年に460ニュルブルクで初の防弾車両を製作して以降、80年以上にわたって自社で防弾車両を製作しています。そして初期の防弾車両として有名な車両が、昭和天皇の御料車として知られるメルセデス・ベンツ770(W07)です。

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「グロッサー・メルセデス」の異名をとるメルセデス・ベンツ770/770Kのなかでも、美しい溜色に塗られた御料車はあまりにも有名です。現在はドイツ皇帝ヴィルヘルム2世のメルセデス・ベンツ770Kとともに、シュツットガルトのメルセデス・ベンツ ミュージアムで実車を見ることができます。

第二次大戦後、「グロッサー・メルセデス」の再来と呼ばれたモデルが、1963年に登場したメルセデス・ベンツ600(W100)です。国家元首や王侯貴族クラスの特別な顧客のためにつくられたメルセデス・ベンツ600には、当然のごとく防弾車両が製作されました。なかでも1965年のエリザベス女王のドイツ訪問に合わせ、ドイツ政府のリクエストにより製作されたメルセデス・ベンツ600ランドレーの防弾車両は、ノーマルよりもルーフラインが高くなっていました。これはエリザベス女王が帽子を着用したまま車内に乗り込めるよう特別に設計されたもの。その後製作されたメルセデス・ベンツ600プルマンおよび600ランドレーの防弾車両にも、この高いルーフラインを持つ車両が存在しています。

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これはノーマルのメルセデス・ベンツ600プルマン。ルーフラインは比較的低めです。

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こちらはメルセデス・ベンツ ミュージアムに展示されている、メルセデス・ベンツ600プルマンの防弾車両。ノーマルの600プルマンに比べてルーフが高くなっています。

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▲TSM MODEL 1/43 1965 Mercedes-Benz 600 Pullman Landaulet Pope Paul Ⅵ(品番 TSM124352)

こちらはTSM製の1/43メルセデス・ベンツ600ランドレー。バチカンに納入されたローマ法王専用車をモデル化したもの。ローマ法王の玉座が再現され、ルーフラインが高い仕様になっています。

ロシアの歴代大統領が愛用するS 600 プルマン・ガード

メルセデス・ベンツ防弾車両の代表格は、Sクラスをベースにした[S-Guard]です。なかでもW140型Sクラスをベースにした防弾車両は、コンチネンタル製の特殊なランフラットタイヤを装着するため特徴的な外観を備えています。このタイヤはリムから大きくはみだしていたため、同時期にラインアップされていたW124のE 500のように、前後のフェンダーがワイド化されていたのです。また、フェイスリフト後においても、前期型のバンパーを使用していたことも特長のひとつ。大柄なW140のボディをワイドフェンダー化したこの防弾車両は、歴代S-Guardのなかでも随一の迫力。スタイリング面においても印象深いモデルとなっています。

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▲Dip Models 1/43 Mercedes-Benz S500 PULLMAN GUARD (W140)(品番 GON140)

1995年には、このW140に純正リムジンのプルマンが製作され、その防弾車両が初代ロシア大統領となったエリツィン大統領の専用車として導入されました。ホイールベースはSクラスのロングモデルから1m以上延長され、全長は実に6213mmに達しています。さらに全高も高くなったこのモデルは、まさにメルセデス・ベンツ600プルマンの再来と呼べるモデル。大統領専用車がソビエト時代のZIL(ジル)からメルセデスに変わったことで、名実ともにソビエト連邦の終焉を感じさせたのでした。

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▲Dip Models 1/43 Mercedes-Benz S600 PULLMAN GUARD (W220)(品番 GON220)

ロシア大統領がエリツィン氏からプーチン氏に代わり、大統領専用車もW140からW220ベースのS 600 プルマン・ガードに変更されました。W220ではW140のようなワイドフェンダーが採用されることはなく、ノーマルホイールと同じ意匠を持つホイールにミシュランPAXタイヤシステムが装着されました。W140に比べて外観は大人しくなりましたが、防御レベルは狙撃ライフルや手榴弾での攻撃に耐えられるもので、より強固な装甲となっています。

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この記事の筆者:北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人にな...