タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在

最終更新日: 公開日:2015-07-23 | Posted in エンタメ by

カーモデルの魅力は、組み立てをしながら実車の構造を理解できること。実車の写真や資料を見ながら塗装やディテールアップなどを行うことで、さらに楽しい時間を過ごすことができます。なかでもタミヤのカーモデルは、実車の雰囲気を凝縮した再現度の高さと、実物の構成に近付けたパーツ構成を実現。精密さと組み立てやすさを兼ね備えています。

そんなタミヤが6月27日に発売を開始したのが、1/24スケールモデルの「トヨダAA型」。1936年に発表されたトヨタ自動車初の生産型乗用車です。この発売に伴い、カーモデルの製造開発に関するメディア向け説明会が開催されたので参加してきました。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在●6月27日に発売された、タミヤ1/24スポーツカーシリーズの「トヨダAA型」(価格:税別3,400円)。

プラモデルの設計は実車取材からはじまります。タミヤといえば、1970年代にポルシェのビッグスケールモデルを開発した際、実車のポルシェ911を購入してひとつひとつ分解しながら採寸や形状の確認を行ったエピソードが有名です。昔から変わらないのが地道な写真撮影。設計に直接関わる重要な作業のため、一脚を使って真上から撮影したりするなど、撮影枚数は数千枚におよぶといいます。最近では3Dスキャナーなども導入しているとのこと。今回のトヨダAA型では、トヨタ博物館所蔵の復元車両、それにトヨタ産業技術記念館に展示されている製作ラインを取材してつくられています。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●当日はタミヤから企画開発部二課の海野剛弘課長と、営業部営業課でスケールモデル広報担当の山本曉主任が参加。実車取材から金型製作までの製品開発の流れや開発方法の変遷などについて説明が行われた。

次のステップは、実車取材で撮影された膨大な写真をもとに行う設計作業。このとき重要なのは、実車を見て設計担当者がどのように感じたかということ。取材後、設計担当者が頭に描いたものを絵に描いたりしながら実際の設計作業に入っていきます。プラモデルのパーツは、製品時にはランナーに枝のように付いています。しかし、実際にはパーツのひとつひとつに設計図があるため、当然ながら膨大な労力を必要とします。現在は3DCADの導入により、設計作業の分担やパーツ同士の干渉チェックがしやすくなり昔にくらべ開発期間の短縮が可能になりました。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●左はドラフターを使って手書きで作図していたアナログ時代のもの。右はCADを使った現在の設計風景。ひとつひとつの部品に一枚の設計図があるため、アナログ時代は数百枚の図面が描かれる製品も。

3Dスキャナーの活用により、幌や服のシワなど不規則な形状のものを正確に表現できるようになったのも大きなメリット。トヨダAA型に付属するドライバーフィギュアは、実はタミヤの社員の方がモデル。人間を360度スキャンして製作しただけに圧倒的な再現度を誇っています。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●目元や耳などの立体感、服のシワなどの再現度の高さは3Dスキャナーのわかりやすい活用例。デジタルになってから、シートへのフィッティング作業なども楽にできるようになったという。

以前は製図後に2倍サイズの木型を製作し、それを元に金型を作っていました。2倍にするのは、一度倍寸にしたものを縮小したほうがより精密になるためです。1990年代半ば以降はCAD設計に変わったため、木型の製作はなくなりました。しかし、自動車の微妙なボディラインなどは画面の中のデータでは確認しづらいため、ケミカルウッドを削り出した原寸大の立体モデルを製作していたとのこと。現在はそれも3Dプリンターでの出力に変わってきたといいます。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●1/24 トヨタ・スプリンター・トレノ GT-Z(1988年発売)の開発で使用された2倍サイズの木型。右が実際にできあがった製品。

こうして設計が完了すると、データを元に各種工作機械で金型が製作されます。その際、金型の磨きや調整、鋳造の表現など、データだけで表現できないものは手作業により行われます。開発作業の多くはデジタル化されたとはいえ、最後はやはり人間のセンスがないと良いものにはならないとのこと。デジタルのメリットは活かしつつ、最終仕上げはアナログというところにタミヤのものづくり文化が感じられます。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在

最後の質疑応答では、ディフォルメについても話がおよびました。タミヤのプラモデルは昔から多少のディフォルメが加えられていて、それが独特のリアル感を醸し出していました。模型では実車のようにタイヤがつぶれないため車高を調整したり、タイヤが細すぎるときは太くするなど、以前は感覚的なディフォルメも行われていたそうです。しかし、最近ではメーカーから実車のデジタルデータを与えれることも少なくないため、ディフォルメについては毎回葛藤があるとのこと。データをそのまま立体化したら他の模型メーカーとも一緒になってしまうし、かといってディフォルメしすぎると実車とかけ離れてしまうため、今でも試行錯誤しながら設計していると回答していました。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●今年4月1日に発売された、タミヤ1/24スポーツカーシリーズの「メルセデス・ベンツ 300 SL」(価格:税別4,200円)。実車の圧倒的な存在感を1/24スケールで十分に表現している。

タミヤを代表する商品の組立てキットとは別に、同社のものづくりが存分に発揮されているもうひとつの商品が、完成品の「マスターワークコレクション」です。模型メーカーが自社製品の完成品モデルを販売するのは世界的にも異例で、それゆえミニカーコレクターの目利きが狙っている商品でもあります。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
マスターワークコレクションの「1/24 ラ フェラーリ (レッド) 完成品」(価格:税別17,800円)。生産量が限られているため、すでにタミヤショップオンライン以外では完売している。

以前のタミヤは、プラモデルとは異なる車種をダイキャスト製ミニカーとして販売していました。写真の1/20 フェラーリ643は最初からダイキャストミニカーとして設計されたもので、後の「マスターワークコレクション」とはまったく別のつくりになっていました。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●1/20 タミヤコレクターズクラブ フェラーリ643 *現在はメーカーでの販売を終了しており、入手することはできません。

タミヤはその後、2002年頃からプラモデルの完成品モデルに着手しました。製作はタミヤのフィリピン工場で行い、同社のスケールモデルをそのまま手作業で組み立てて完成させるという他に例のない完成品モデルでした。しかし、当初のモデルはホビーショーやタミヤモデラーズギャラリーなどでのテスト販売にとどまり、一般の販売ルートに乗ることはありませんでした。

タミヤの製品開発はやっぱりスゴイ!カーモデルの歴史と現在
●1/24 スバル・インプレッサ WRC ’99 完成品 *現在はメーカーでの販売を終了しており、入手することはできません。

その後、正式にラインアップされた「マスターワークコレクション」は、カーモデルだけでなく、オートバイモデルなどもつくられています。部品がすべて露出するオートバイではすべての部品を塗装しており、カーモデルではエンジンルームの開閉こそ省略されているものの、見える範囲のすべての部品を塗装。そのクオリティはタミヤのカタログに載っている完成品写真そのものです。台座に固定するため穴をあける工夫をしている程度の違いしかありません。

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●今年の静岡ホビーショーに参考出品された1/24 メルセデス・ベンツ 300 SLの完成品モデル。会場ではシルバー、ホワイト、ブラック、レッドの4種類が展示されていた。

自分でキットを組み立てることでものづくりの悦びを堪能できるプラモデルと、タミヤならではの実感あふれるプロポーションを眺めて楽しめる完成品モデル。それぞれに楽しみかたは異なりますが、共通するのはタミヤというメーカーのポテンシャルの高さです。
そんなタミヤの今を体験できるイベントが、東武百貨店池袋店にて、7月23日(木)~28日(火)の日程で開催されている「タミヤモデラーズギャラリー2015」。今年は「過去から未来へ」をテーマに、トヨダAA型の実車と、燃料電池車トヨタ・ミライを展示。最新のスケールモデルをはじめ、RCモデル、ミニ四駆などの新製品が展示・販売されるほか、コンテスト入賞作品の展示やイベント会場販売商品なども取り揃えています。

●イベントの詳細はこちら。
http://www.tamiya.com/japan/cms/newstopics/3762-gallery.html

模型・ミニカーファンはもちろん、夏休みに子どもと一緒に楽しめるイベントを探しているお父さんにもおススメですよ!

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この記事の筆者:北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人にな...