世界で最も過酷な使用環境であろう日本で、あえて輸入車を選ぶのはなぜなのか?

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不肖「国産クラシックカー一筋」の筆者ですが、今回はあえて国産クラシックカーのオーナーからの視点で「日本車を選ぶ理由」という事を考えてみようとかと思います。いやもしかしたら筆者自身が何故、突然「オールドメルセデスに乗りたい」と考えるに至ったのかという理由を考えることでもあるかもしれません。

日本で輸入車に乗る事になんのメリットもない?

カレントライフの誌面で言うべき事では無いのを承知で、実も蓋も無い事をいってしまえば、実用面において日本で輸入車に乗る事になんのメリットも無いでしょう。最近は国問わずどこのメーカーもあらゆる状況を想定し、時には輸出先の国で実走テストをしあらゆる不具合を洗い出し、日夜開発競争でしのぎを削っているとはいっても、本国とは気候も、道路事情も使用環境も全く違い、むしろ温暖湿潤で気候変動も寒暖差も激しくストップ&ゴーが多く、狭い路地の入り組んだ、おそらく自動車にとって世界で最も過酷な使用環境であろう日本で輸入車に乗るのは国産車と全く同じ感覚というわけにはいかないでしょう。

クルマに対して特に拘りが無い、あくまで実用、かつ日本の道路事情という意味においては国産車、1000ccクラスのコンパクトクラス、あるいは軽のハイトワゴンでも十分なくらいかもしれません。一時期仕事でスズキワゴンRやダイハツタント、日産デイズ等の軽ハイトワゴンに頻繁に乗ることがあったのですが、日常の移動手段としてならもうあれに勝るものはありません。見事なパッケージングで体感的なキャビンの広さではロワーミドルセダンも凌駕し、最近はCVTとスロットルの制御が絶妙で加速性能にも不満はありません。

市街地走行なら筆者の昭和48年セリカLBより現行のターボ付き軽トールワゴンの加速の方がよっぽど速いくらいです。入り組んだ路地を走ることが多い人であれば、国産でも下手にアッパーミドルやフルサイズのセダンに乗るほうが持て余すかもしれません。ちなみに、現行軽自動車のサイズは全長が初代カローラより300mm短いだけです。おそらく、現行規格の軽自動車のサイズは日本の道路規格や建築規格を鑑みて本来は日本の国土事情に一番適したサイズなのかもしれません。

正直な所「普通に考えたら」日本で輸入車を選ぶ合理的な理由なんてどこにも無いのです。何しろ我々は「兎に角自動車を始めとするあらゆる工業製品を輸出産業として発展させなければこの国の未来は無い」と先人たちが尽力し、世界最強の品質と信頼性を勝ち取った日本製工業製品の筆頭たる日本製自動車を製造してるその本拠地にいるのです。

合理性ではない「何か」がある

でも、カレントライフの読者の皆様のように、自動車に対して趣味的要素を持ち始めると普通に考えれば「輸入車に乗ることに合理的メリットは無い」とわかっていても、合理性とは違う「何か」を求めるようになるのではないでしょうか?その「何か」とは……「国産旧車ひいき」の筆者が日本製クラシックカーを究めようとすればするほど、日本車がどれだけ品質も性能もカタログ上では高い数値をたたき出しても、輸入車を超える事の出来ない最後の壁のような物があるように感じる事があります。それこそがカレントライフの各記事にしばし出てくる「バックグラウンドのヒストリーや文化」ではないでしょうか。

筆者はそれこそ一時期は視野狭窄的なまでに国産クラシックカーに入れ込んでいました。全く興味が無いというわけではありませんでしたが、「自分が輸入車に乗る」ということは全く考えもしなかった時期もありました。ところが、実際にスバル360やセリカLBを所有しオーバーホールやレストアを経験し、時には自分の手でエンジンや足回りを分解、整備をしたりするうちに、以前の記事で書いた模倣とは言わないまでも、次第に技術的な参考にしたであろう外国車に思いをはせるようになっていきました。「この技術、機構、この部品、これらを発明した国はどんなクルマを作っているのだろう……」と。

実績もノウハウも無いゼロからのスタートで世界市場を視野に日夜、性能と品質の向上に取り組んでいた時代の日本車の合理性の追求の執念はむしろ今日のクルマを凌ぐ部分さえ感じる事があるのですが、長く愛用出来て尚且つ合理性を突き詰めたクルマというのが自分の理想のクルマなんだと気づいた時に突然降って湧いたように現れたのが、「メルセデスへの興味」でした。

スペックや品質、装備や、全国にあるディーラー網と維持費、トータルのコストパフォーマンスを考えれば、クラウンやレクサスのほうが上回るでしょう。でも長年乗っても飽きない、そればかりか所有歴の長いオーナーには表彰制度も存在し、オールドタイマーのモデルに対しても部品供給のサポートが確立され、むしろタイプによってはヴィンテージモデルでは維持のしやすさやコストパフォーマンスが国産車と逆転するなど、クラシックカー好きには魅力的な環境が整っていて、なにより「世界で初めてガソリンエンジンの自動車を商品化した」というバックグランドのヒストリーと文化に惹かれ、ついにはドイツの歴史や文化そのものにまで関心を持つように至ったわけですが、この時に昔、大学で学んだマーケティング論の「付加価値」「プレミアム」「ロイヤルティ」という物を思い出しました。

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...