安めで古めの輸入車でも金持ちに見えれば……それにつけても金の欲しさよ

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五月雨を あつめて早し 最上川
それにつけても 金の欲しさよ
―松尾芭蕉―

……と、松尾さんはそんな歌など作ってはないわけだが、わたしと来た日にはいつもそのようなことばかり考えている。「それにつけても金の欲しさよ」と。

残る人生で1億円ぐらいは必要。さて、どうやって稼ぐ?

といっても別に数十億円とか数百億円とかいった超絶大金が欲しいわけでもない。わたしが「欲しいなぁ」と思うのは、零細自営文筆業者である自分が完全に干されたり、若衆の台頭により働き場を失ったりしても、健康ですこやかでささやかな毎日をせいぜいあと30年ほど送るのに必要なぐらいのマネー……にすぎない。

これまでマジメに計算したことがないので詳細は不明だが、試しに今計算してみると、毎月30万円ぐらいのバジェット感でささやかに暮らすとして、それが12カ月で360万円。仮にあと30年生きるとして1億800万円。いわゆる年金は今後どうなるかよくわからないのでとりあえず除外して考えると、要は「1億円ぐらいありゃなんとかなる」ということになるだろうか。

しかし、こんな小生でも年に一度ぐらいは亜米利加のハワイ州か、せめて琉球国ぐらいにはJALパックで行きたいので、もうちょい余裕をもたせて「1.5億円ぐらいありゃなんとかなる」というように上方修正させていただきたい。

が、当然ながら現状そんなマネーは持ち合わせていないため、「……それにつけても金の欲しさよ。天下の回り物たぁいうけれど、オイラのところにゃどうすりゃ回る?」などと若干字余りの七五調でつぶやきながら、わたしは自宅近隣への散策を敢行した。小生は何らかのアイディアすなわち着想を得たい場合は「散歩」に頼る場合が多いのだ。

「みんな平民」だと思っていたが、ド平民なのは自分だけだった

そうしてブツブツつぶやきながら歩くと……なんたることだ。我が長屋のご近所さんでは今、邸宅の新築ラッシュが発生しているではないか。どこもかしももトンカントンカンと大工さんらが甲斐甲斐しく働き、大層立派な邸宅が多数建築中である。

このあたりの地価が安いから新築ラッシュが起きているわけではない。拙が住まうエリアは、拙の長屋を除けばなかなかのお屋敷街で、試しに今調べてみたところ、1平方メートルあたりの地価はおよそ70万円。土地建物にはまるで詳しくないため、これがいったいどのぐらいのモノなのかはよくわからないが、たぶんそう安くはないはずだ。そんな場所で、邸宅の新築ラッシュが起きている。

不景気と 思っているのは自分だけ
それにつけても 金の欲しさよ
―伊達軍曹―

自分は七五調でそのように嘆き、すすり泣きながら散歩を続けた。

なんたることだ。みんな貧しいのだとばかり思っていたが、一生の下積みが確定しているのは実は自分だけで、周囲の者らは新築の大邸宅でぶどう酒やリッツなどをいただきながら、楽しげなホームパーティーを主宰しつつ生きていたのだ。ガーン。

自分はちょっと死にたくなった。が、そう簡単に死ぬわけにもいかないので、歯を食いしばりながらも散歩を続けた。金持ちになるためのアイディアを早急にひねり出さねばならないからだ。

安めで古めの輸入車でも金持ちに見える「法則」を発見

しかしそうこうするうちに、自分は一つの発見をした。

自分が住まうエリアは前述のとおりまあまあ地価が高い場所であるため、当然ながら邸宅の軒先に駐車されている自家用車も、比較的高額な輸入車が多い。つっても別に田園調布とかに住んでいるわけではないのでロールスロイスやらアストンマーティンがあるわけではないが、ベンツのCやE、あるいはビーエムの3や5あたりがスタンダード……といったニュアンスである。

そういったクルマ(の現行モデル)がキレイな邸宅に駐車されていれば、それはなかなかブルジョア感あふれるビジュアルになるわけだが、そうではないクルマ、例えばフォルクスワーゲンのゴルフ2やら初代のフィアット パンダあたりが無造作に邸宅の前に駐車されていても、それはそれでなかなかもってブルジョアジーな絵面になることを発見したのだ。

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この記事の筆者:伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めた...