非市場マインド的な業界に比べて、中古車業界のなんと健全なことよ!

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きょう、ママンが死んだ……というのはアルベール・カミュ『異邦人』新潮文庫版からのパクリで、しかもママンが死んだのは「きょう」ではなく昨夜であり、さらにはママンといっても実のママンではなく父が再婚した女性、つまりわたしにとっては「義理のママン」なのだが、とにかく、亡くなった。

葬儀を含むもろもろの打ち合わせを深夜に終えて思ったのは、葬式仏教界の古くさい、いまだ超絶非合理的な市場の現状と、それと真逆とも言える「中古車市場の健全性」についてであった。

「院」を付けると60万円、「大姉」は100万円?

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「戒名代は、お布施とあわせて60万円」と葬儀社の人に聞いたとき、わたしは病院の談話室で失神昏倒しそうになった。は? 60万円? わたしの聞き間違えではなく本当にロクジュウマンエンなんですか? お通夜なしのお葬式だけなのに?

「はい。あ、そのほかに『御車代』を1万円と、お食事を供されないということでしたら『御膳料』5000円ほどを別途ご住職にお渡しください」

……大変申し訳ないが、ちょっと来てお経をあげて、その前に電話で故人の人柄などを少々ヒアリングして漢字数文字のネーミングを考案するだけで60万円とは、まるでバブル期の糸井重里というか、いかな専門家に対する顧問アドバイザリー料とはいえ、どんなもんだろうか……と、わたくしは若干の怒気を含みつつ葬儀社の方に率直な思いを伝えた。しかし彼は苦悩するように答えた。

「……『院』を付けるとですね、どうしてもそのぐらいになるのが一般的でございまして、そこに関してはなんともどうして……」

院というのは、戒名における「ナントカ院カントカ信女」の院だ。5年前に死んだ父のあの世ネームがナントカ院カントカ信士だったため、それに合わせるというだけの意図で、深い考えもなく「戒名はナントカ院カントカ信女でお願いします。あ、最後のとこはカントカ大姉でもいいかな?」と言ったのだ。

しかし前述のとおり「院」を付けるとコミコミのフィーは60万円相当となり、「大姉となりますと、大変申し上げにくいのですが100万円近くは……」というのが葬式仏教界の相場なのだそうだ。そして、加えて彼は言った。

「院をお付けにならずナントカカントカ信女で行かれますなら、トータル25万円から30万円ほどでご住職もやっていただけるとは存じますが……」

ここまで古くさい料金体系が今も残っていたとは…

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……申し訳ないがそういう問題ではないのだ。わたくしが怒っているのは(もちろん葬儀社の方個人に対してではなく、葬式仏教界に対してだ)、こういうことである。

すべての物事がより合理的に、効率的に、科学的に高生産性的に、市場の歪みを正しながら、これまでベラボーな既得権益を貪っていた人々には申し訳ないけどあきらめていただく形で、人類がプラクティカルに進歩を続けているこの2017年。そんな時代に貴殿ら葬式仏教界は、いまだ旧態依然たる、まるで昭和の土建屋かバブル期のモータージャーナリストのような、既得権益どっぷりの非効率・非科学・非合理の庭で、破廉恥なパーティを続けている。で、そのパーティが永遠に続くものと思っている。その傲慢さと鈍感さに、わたしは腹を立てているのだ。

もしもAmazonのジェフ・ベゾスが日本の葬式仏教市場への参入を決意したら、貴殿らの既得権益的市場なんてあっという間に壊滅され、滅亡するぞ。それでいいのか? 仏教の徒でありつつも1人の現代人である以上重要となる「合理性」「市場性」は、自分には無関係だとでも思っっているのか? ええい、腹が立つ。デストロイだ。ファック・オフだ。アナーキー・院じゃなかったイン・ザ・UKだ!

そのように絶叫しつつ談話室のテーブルをひっくり返し、窓に向けてパイプ椅子を放り投げる妄想をしながら、わたしのなかのもう1人の冷静なわたしが疑問を呈してきた。

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この記事の筆者:伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めた...